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桜が咲く頃逢えたら
第11章 暗闇の中へ
「母さんが言ってたよ。
僕の上には、もう1人、
赤ちゃんが居たんだって。
でもね、途中で流れたって。
その後、なかなか次の子供、授からなくて、
だから、上の2人と僕、歳が離れてるんだよね。
で、自分が悪かったんじゃないかとか、
すごく自分を責めてたらね、
産婦人科のおばあちゃん先生に言われたんだって。
流れたのは、産まれてくる力がないから、
お星さまになったんだよって。
それは、もしかしたら、
子供自身が生きていけない何らかの疾患とか問題があったのかもしれないし、
お母様の方に産むのが難しい問題があったのかもしれないけど、
流れてしまって星になったのは、
誰のせいでもなくて、
自然の決めたこと。
それがその時のベストだったんだって。
また、体調を整えて、
一番良い時に、授かりますよって言われて、
少しホッとしたってさ。
ホントなら、月(るな)ちゃんを3月に出産するとしても、
亮平さんがこうやって、
瑞樹ちゃんの隣に居れるわけじゃなかったでしょ?
色々なことから、そうなったんだよ。
月(るな)ちゃんはお星さまになったかもしれないけど、
また、お腹に戻ってきてくれる日がくるかも。
まあ、僕は居るだけで頼りないけど、
居ないよりマシでしょう?」と言うと、
「さ。
寝よう?
明日から、本当にリハビリしてみようか?
それと択一の勉強だよ」と笑った。


その翌日から、
本当にリハビリに1日おきに通うことにした。
家でもなるべく掴まり立ちをしたり、
動かしたりストレッチをする。

それを安西くんが手伝ってくれるのが、
なんとなく恥ずかしくて、
2人でクスクス笑ってしまう。


そして、程なく安西くんに、
「実家に連れて行って欲しい」と頼んだ。


どうしても、両親に話をしたかったから。

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