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桜が咲く頃逢えたら
第2章 魔法のキスで恋に落ちた
「あれ?
どこかで会ったこと、あるよね?」と言って、
私の顔を覗き込む。


「亮平、近いよ?
席、変わろうか?
みーちゃん。
ほら、年末にお前の部屋に来てたでしょ?」

「ああ。
晋太郎さんが、ゾッコン惚れたって言ってた女子大生か。
ふーん。
確かに可愛いな。
俺、宇田川亮平。
晋太郎さんの後輩。
宜しくね?」と言って握手をしたかと思うと、
引き寄せて手の甲にキスをする。


「えっ?
あの…?」と戸惑うと、

「亮平、ダメだよ?
みーちゃんは渡さないから」と、
江川さんが私の手を引っ張る。

「えー?
凄くタイプなんだけど?
小柄だけど、おっぱいデカいし、
可愛いけど、目がキリっとしてて、頭良さそうじゃん」

「ダメダメ。
みーちゃん、喘息あるから、
煙草、苦手なんだよ?
お前、煙草吸うからな」

「辞めるよ。
ほら、捨てるから」と言って、
ポケットから煙草を出して、
灰皿に中身を出すと、
コップの水を掛けてしまって、
私に笑い掛ける。


この前は、怖い顔をしていたけど、
凄く可愛い顔に見えて、
笑ってしまった。


「やっと笑ってくれた」
と、江川さんが優しく言って手を握る。


反対の手を、亮平さんが握って、
「笑顔も可愛いな。
晋太郎さん、俺、一目惚れしたんだけど?」と言うので、
私は困惑してしまう。


「亮平、僕も本気なんだ。
今日はね、コドモ出来たって言いに来てくれたんだよ。
そういうことだから」と江川さんが言うので、
私は慌てて「違います!」と少し大きい声で言った。


「明日、病院に行こうね?
家まで送って行くよ?」と言われて、

「家は近いから大丈夫です!
失礼します」と言って、
慌てて立ち上がって、
お財布を出そうとすると、
「良いよ。
僕が払っておくから」と江川さんが笑った。


私は紘子さんの腕を引っ張って、
バーを後にした。


後ろから亮平さんが追い掛けて来ていた。


「本当に晋太郎さんとデキてるの?」と、
私の腕を掴んで言う。

「デキてるって?」

「妊娠してるの?」

「してません!!
えっと、そういうことも、してません」と言うと、

「なんだ。
じゃあ、まだ、見込みはあるよね?
俺の名刺。
いつでも電話して?
本当に一目惚れしたから」と言うと、

「またね?」と言ってバーに入ってしまった。

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