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桜が咲く頃逢えたら
第2章 魔法のキスで恋に落ちた
翌日、紘子さんが薬局で試薬を買ってきてくれて調べた。
勿論、妊娠してなかった。


「想像妊娠ってこと?」

「色々あって、身体がびっくりしてたんじゃない?
本当に初めてセックスしたら、
その後も痛くて大変だよ?」と、
紘子さんはケラケラ笑った。


「でも、瑞樹さん、モテモテじゃない?
社長の江川さんも、
一緒に居た亮平さんも、
メロメロだったよね?」

「そんなことは…。
だって、お互い、何も知らないのよ?」

「一目惚れって言ってたじゃない?
理屈とかじゃないでしょ?
瑞樹さんはどっちがタイプなの?」

「えっ?」

「フニャチンはちょっとね。
でも、色々出来るって言ってたよね?
亮平さんの方はワイルドで、
セックス上手そう」

「やだ」

「やだって…。
セックスは大事だよ。
相性もあるし、
嗜好が合うことも大事だし」

「嗜好?」

「まあ、瑞樹さんにはまだ、早いかな?」と笑われてしまった。


2月の下旬のバーの閉店日の前夜、
サヨナラパーティーがあるからと言われて、
紘子さんと2人で出向いた。


凄い参加人数で、
椅子は外に出してオールスタンディングだった。


人混みの中、
私を見つけて亮平さんが人を掻き分けながら近づいてきた。


「なんで、電話、くれないの?」と、
少し怒った顔で言う。

「えっ?」と言うと、

「まあ、良いや。
一緒に飲もう?
えっ?
飲めないの?
ふーん。
じゃあ、ジュース貰って来てあげる」と、
カウンターの方に行ってしまう。


そこに、江川さんが来て、
「なんで、電話、くれないの?」と言うので、
紘子さんが大笑いする。


「2人して、おんなじこと、言ってるんだもん。
みーちゃんはね、
その辺に居る尻軽女とは違うの。
難攻不落の姫なんだからね?」と言って、
私の腕に、自分の腕を絡めた。


亮平さんがオレンジジュースを持って来てくれたのを受け取って、
「ありがとうございます」と言って笑うと、
「本当に笑うと可愛いな」と言って、
頬に触れられて紅くなってしまう。


「あっ!
ジャンボさん、来た!」と言って、
紘子さんはそちらの方に行ってしまう。


取り残された私は、
どうしたら良いか判らなくて、
黙ってしまった。
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