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桜が咲く頃逢えたら
第3章 初めての夜
暫く茫然としてみんなが出て行ったドアを眺めていると、
亮平さんが後ろから私を抱き締めてくれて、
耳朶にキスをした。


「あっ…ん…」

「可愛い声。
俺はもう離婚したから独身だよ?
気になる?」

私はなんて言ったら良いか判らなくて、
唇を噛み締めてしまう。


「ベッドもなくてさ、寝袋で寝てるからな。
ちょっと待ってて?」と言って、
和室にパタパタと折り畳みの土台とマットみたいなのを設置して、
寝袋を開いて置く。
もう一つ同じ寝袋を開いて掛け布団のように置いて、
その上にブランケットを載せると、
「姫様、寝床の準備が出来ました。
どうぞ?」と笑うので、
おずおずと近付くとそのままキスをして、
中に引っ張り込まれた。


「キャンプみたいですね?」と笑うと、
「家財道具、全部処分したり、
持って行かれたりしたからね。
まあ、日曜には引っ越しだし」

「どこに?」

「瑞樹のトコに近くなるかな?
仕事にも便利だし。
ここはもう、住みたくないよ。
嫌な思い出ばかりだもん」と言って、
額にキスした。




「さっき晋太郎さんが言ってた。
『みーちゃんとはヤッてないよ』だって。
でも、ちょっと俺、ヤキモチも焼いてた。
最初に会った時は泥酔してたし、
あの頃はコドモのことと離婚で揉めてて、
酒浸りで、適当なオンナと寝たりしてて、
本当に最低だったし。
でも、もう落ち着いたよ?
酒もそんなに飲まなくても眠れるし、
煙草も辞めたし、
仕事もちゃんとやってるし。
あとは、瑞樹が隣に居てくれたら完璧だよ?」と言って、
頬や唇にキスをする。


「瑞樹はどうなの?
本当に俺と付き合ってくれるの?」


「私…あの…。
嘘をついてて…」

「えっ?
何?
嘘は嫌だよ。
俺、それで散々な目にあったからさ」と、
瞳を覗き込む。


「あの…。
ごめんなさい…」

「言って?
ホントは晋太郎さんとセックスしてたとか?
それなら、良いよ。
忘れさせるくらい、
上書きするから」と言って、
ワンピースの合わせ目から手を入れて胸に触れる。


「私…あの…。
年齢詐称してました…」

「へっ?」

「紘子さん、お外でお酒飲んだりしてるから、
未成年とは言えないでしょ?
それで、21歳ですって言ってて…」

「はっ?
本当は何歳?」

「19歳です。
今度大学2年…」



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