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桜が咲く頃逢えたら
第3章 初めての夜
手を引かれて洗面所に行くと、
引き出しから無印良品の新しい歯ブラシを出してくれる。

並んで歯磨きをして、
2人で浴室に入ると、
亮平さんは優しく身体をスポンジで洗ってくれる。

私も同じように洗ってあげると、
「背中とか、洗って貰えるの、
最高だな」と笑って言った。


和室に戻ると、
亮平さんはタオルで敷布団代わりの寝袋を拭いて、
新しいバスタオルを敷いてから、

「防水で良かった。
姫様、新たな寝床の用意が出来ました」と言って私の手を引いて、
横たわらせた。


「瑞樹、ごめん。
気持ち良くて、フェラさせちゃったよ」

「フェラ?」

「口に咥えさせちゃった。
大事なこと、まだ、言ってないのに」

「えっ?」

「俺と付き合ってくださいは言った。
一目惚れしたってことも言った。
でも、大事なこと、言ってない」

「なんですか?」

「一目惚れしたから、一緒に居たい。
瑞樹のこと、大事にしたい。
これってさ、
愛してるってことだよね?
瑞樹はどうか判らないけど、
人間、何があるか判らないから、
そう思ったらすぐに言おうと思ってて。
瑞樹、愛してる。
会ったばかりだし、
お互いのこと、判らないことだらけだけど。
愛してる。
その気持ちに偽りはない」

「…」

「瑞樹の気持ちは、今は訊かないよ?
会ったばかりで、そんなの判らないって言われるのはもっともだし。
でも、俺のこと、嫌いじゃないよね?
少しずつ、知り合えて、
いつか、愛してるって言ってくれたら、
嬉しいよ。
若いから、他に好きなオトコ、出来るかもしれないけど、
そうならないように、俺、頑張るから」

「頑張るって?」

「そうだな。
まずは、俺なしじゃ居られないほど、
セックス漬けにするとか?」

「えっ?」

「冗談だよ?
それに、多分、俺の方が虜になりそう。
さっきも気持ち良くて、
全然もたなかった。
こうやって、抱き締めあってるだけで、
気持ち良くて、ほら、勃起してるもん」

「…」

「よし。
今日はこのまま、寝ようか?
朝になったら送よ?
ヒロちゃんも心配だろう?
ごめんな。
ジャンボ、結婚してること、言ってなかったんだな。
俺の話もしないとな…」


ふと見ると、
亮平さんは腕枕しながら眠っていた。

私は亮平さんに包まれるように丸まって朝まで眠った。
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