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桜が咲く頃逢えたら
第5章 多忙だから放置だなんて大丈夫なの?
久し振りの実家は、ママが焼いていたアップルパイの香りがしていた。
手を洗ってからキッチンに入って紅茶の準備を手伝っている間に、
パパがキャリーバッグからタロウを出そうとしていたみたいだけど、
怖がって出てこないようだった。


ティーセットとアップルパイのお皿をママと運んでキャリーバッグを見ると、
カールが伏せをしながらその中を覗き込んでいた。


カールをパパの方に呼んで貰ってから、
私がキャリーバッグを覗き込むと、
タロウが小さな声で鳴いて出てきて、
私の手と顔を舐めてくれる。


「あら。
本当にトイプードルで、小さいのね!」とママが言って、
私たちのテーブルの横に、カールとタロウの為のお水のお皿をそっと置いて、
「come on, boys!」と呼ぶと、
カールはすぐにママの処に来てお座りをする。

タロウもおずおずと真似をするので、
ママが、
「good boy!」と言いながら、
カールとタロウにオヤツをあげると、
嬉しそうに尻尾を振りながら食べて、
またお座りをしていた。


「あら。
ちゃんと訓練されてるのね?」と笑った。


飼い主については、訊かれたけど、
あっさりしているパパとママは、そんなに深くは訊かなかった。


「そうそう!
幼稚園の同窓会、久し振りにするんですって。
みんな大学生になったから、
ゴールデンウィークの辺りにどうかなって、
PTAでは言っててね。
子供たちも役員で話してって言ってたわよ?
役員ってね、ママたち、大人の役員の子供達がするから、
瑞樹さんは問答無用で役員なんだけど」と言われてしまう。

「別に良いけど…。
他に誰が居るの?」

「安西さんとこの、悠介くん。
ほら、物凄く背が高くて大人しい男の子、居たでしょう?」

「私、チビって言われたのよね」

「勿論、紘子さんもよ?
後は…高橋くん。下の名前、何だったかしら?」

「連絡先も知らないのよ?
私と紘子さんはそのまま、上に上がったけど、
男子は別の処に行っちゃったから」

「あら。
携帯も知らないの?」

「知ってる訳、ないわ。
会っても居ないし、
顔だって、幼稚園の時のしか、覚えてないもの」

「じゃあ、安西さんのお母様に訊いてみるわね?」


そんな話をして、
夜、早速、電話番号をママが訊いてくれた。
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