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桜が咲く頃逢えたら
第6章 少しのジェラシー
映画が始まった。

シリーズ物のアクション映画で、
勿論、途中にちょっと濃厚なラブシーンもある。

恥ずかしくて横は見れなかったから、
紘子さん達のことは判らないけど、
ラブシーンの時にそっと安西くんが私の手を握ってきた。

私は静かにその手を外してみたけど、
少しするとまた、手を握られてしまって、
安西くんの方を見ると、
その向こうで高橋くんと紘子さんキスをしているのが見えてしまって、びっくりして「えっ?」と声が出てしまった。

紘子さんのスカートが捲れて、
白い太腿も露わになっていて、
その上に高橋くんの手が置かれているみたいだった。


私は少し慌てて安西くんの手を振り解こうとすると、
「手だけ握らせて?
お願い。
それ以上はしないから」と耳元で囁かれてしまう。


変に振り解いたりしてるのも、
周りの目を引きそうで、
私は少し俯いて、
そのまま手を握られていた。


安西くんは指を絡めるように私の手を握ると、
暫くそのまま、映画を見続けていた。



映画が終わると、
少しトロンとした目で、
「あのね、私たち、ちょっと2人になりたいからここで!」と紘子さんが言って、
2人でさっさと駅裏の方へと消えてしまった。





茫然とした顔をしていた私に、
「こっちはどうする?
ご飯でも食べに行こうか?」と、
安西くんは少し紅い顔で言った。

「駅だと、混んでるし、
たいして美味しい店、ないからな。
どうせ送って行くから、
ドライブがてら戻る感じで、
途中でなんか食べようか?」と言って、
駐車場に向かって歩き始めた。


「あ、手を繋いでも良い?
瑞樹ちゃん、小さくて、
迷子になりそうだから」と言うと、
指を絡めるように手を繋がれる。


少し早歩きをしてると、
「ごめん。
歩幅が違うから、
急がせちゃってるね?」と、
歩調を緩めてくれる。


「安西くん、いつも私のこと、
チビって言うのね?」と言うと、

「違うよ?
小さくて可愛いって言ってたんだよ?」と言って、
ギュッと指先に力を込めた。
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