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桜が咲く頃逢えたら
第8章 逢いたい
「ちょっと、外に行かない?
家に閉じこもってるとさ、
気持ちも閉塞感たっぷりになるよ?」と安西くんは言うと、
ママに声を掛けた。


「ちょっと4人でドライブして来ても良いですか?
ラ・マレあたりでケーキ食べて、
海を見て戻って来ます。
あ、おばさんにもお土産にケーキ、
買ってきますね?」と言うと、
ママは、
「あら。
じゃあ、よろしくね?」と言った。


本当に久し振りに、
住宅エリアの外に出た。


葉山まで足を伸ばして、
海を見て、
お茶をして、
また、海を見てから家まで送って貰うだけのドライブ。


大好きな人のお子様が亡くなってしまったこと。
一緒に居たかったけど、家に連れ戻されたこと。
どうしても四十九日の法要には立ち会いたいこと。

そんな話をした。



そして、紘子さんの携帯を借りて、
2週間ぶりに亮平さんに電話をしてみたけど、
留守電になってしまって、
話は出来なかった。


江川さんにも電話をしてみると、
「実家に連れ戻されたんだって?
大丈夫?
携帯も没収だってね?
亮平は、ちょっと荒れちゃってるけど、
必ずみーちゃんに会えるから、
しっかりしろと言ってるよ。
仕事は辛うじてやってるよ。
あ、週刊誌、見た?
そうか。
それなら良かったよ。
多分、形勢逆転になると思うから…」と、
よく判らないことも言われた。


週刊誌って、何かしら?



不安な気持ちのまま、
実家に送り届けて貰った。


パパが戻っていたので、
紘子さんがケーキの箱をママに渡しながら、
「また来るね?
安西くんが車、出してくれるなら、
来やすいんだけど、
車ないと、なかなか大変なのよね」と笑った。


紘子さんをハグしながら、
「本当にありがとう」と言って、
「安西くん、高橋くんもありがとうね?」と、
ぎこちなく笑った。


「また、来るよ?」と、
安西くんが小さい声で言って、
ママも「是非、来てね?」と答えているのをぼんやり聴いていた。


「あ。
そうだ。
今日はこれね?」と、
安西くんが車の一輪挿しから、
八重咲きのピンクのチューリップをそっと渡してくれた。


「ありがとう」と言いながら、
チューリップを両手で受け取って笑いながら、
涙が溢れ落ちてしまっていた。

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