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桜が咲く頃逢えたら
第8章 逢いたい
安西くんの車のトランクには、
色々なモノが積まれているようだった。


ホットドッグを買ってくれて、
車からシートと折り畳みのテーブルと椅子を出して座らせてくれる。

ブランケットまで出して、
「寒くない?」と私を包んでくれる。

コポコポと小さなコンロでお湯を沸かして、
温かいコーヒーも淹れてくれる。


「いつも、こんなに色々なのを持ち歩いてるの?」

「まあね。
今日は瑞樹ちゃん、海に連れて来たかったし」と笑う。


「大学始まったら、
また、東京に部屋に戻るの?」

「判んない。
とても、許してくれそうにないし」

「逗子から大学、大変そうだね?」

「車で送り迎え、されそう。
もう、何処にも行けないの」

「同じ時間で良ければ、
僕、連れて行こうか?
あ、瑞樹ちゃんが嫌でなければだけど。
帰りは、授業の取り方にもよるから、
毎日は無理かな?」

「えっ?」

「家から逗子、そんなに遠くないし、
電車のラッシュ、嫌いだから、
結構車かバイクで通学してたし。
流石に瑞樹ちゃん、バイクの後ろには乗せられないからね?」

「でも…」

「まあ、ご両親が良いって言ってくれたらかな?
僕は寧ろ、
瑞樹ちゃんと毎日会えるのは嬉しいから。
幼稚園以来じゃない?」

「…」

「大学始まったらさ、
例の彼とも会えるんじゃない?
そしたら、僕、お払い箱になるのかもしれないけど、
それならそれで、仕方ないかな?」

「お払い箱だなんて…」

「取り敢えず、帰ったらおばさんに訊いてみようよ?」と言いながら、
私を立たせてくれながらそっと抱き締めると、
「ちょっとだけ、ハグさせて?
そしたら、元気になれるから。
僕も気持ち、折れそうだよ?
なんたって、かれこれ15年、片想いだから」と言いながら、
髪と背中をそっと撫でると、額にキスをした。


「瑞樹ちゃんは、ずっと変わらないな。
小さくて可愛くて一生懸命で。
僕じゃないトコばかり、見てるんだ」

「えっ?」

「東大だもんな?
僕、落ちたんだよ?
何一つ、敵わないし」

「やだ。
大学なんて…」

「うん。
そうだな。
大学なんて関係ないって言えるくらい、頑張るよ?
瑞樹ちゃんのお父さん、怖そうだし。
司法試験、現役合格したら、
東大じゃなくても良いって思って貰えるかな?」
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