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桜が咲く頃逢えたら
第8章 逢いたい
「初めてパパに、許さないって言われたの」

「えっ?」

「私が選んだ人なら認めてくれると思ったのに…」

「んー。
一回り以上歳上で、
バツイチで子持ちだったんでしょ?
それは心配なんじゃない?」

「どうして?」

「例えば…日本人の平均寿命、考えてみて?
物凄く高い確率で、
瑞樹ちゃんは後家さんになるよ?
だったら、まだ、一回り歳下の方が良いって言うかもよ?」と言われて、
笑ってしまった。


「ほら?
瑞樹ちゃんは笑ってるのが一番可愛いな」と、
私の顔を覗き込むと、
頬を指先でそっと触れた。


「それにさ…。
寝たんだよね?」

「えっ?」

「歳上のオトコと付き合って、
大切に育てた娘がそいつとセックスしてるなんて考えたら、
そりゃあ、心配で気が狂いそうになるでしょ?」

私は下を向いてしまう。


「僕だってさ、
本当は気が狂いそうになるよ?
どんなこと、されたんだろうとか、
妊娠させられてないかとか」

「紘子さんが心配してくれて、
病院に連れていかれて、
お薬飲みなさいって…」


「ほら。
そんなこと聴いたら、
お父さん、卒倒しちゃうよ。
僕もね?」と言うと、
「寒くなってきたから、
先に車に入って?
こっち、片付けるから」と言うと、
椅子やテーブルをたたみ始めるので、
私はブランケットを肩に掛けたまま、車に入った。


トランクに荷物を入れて車に乗り込むと、
無言で私に覆い被さるようにしてキスをする。


「やっ…。
やめて?」

「どんなキスしてたの?
そんなに、そいつとのキス、
良かったの?」

胸を掴まれるようにされて、
ワンピースの裾から太腿を触られる。


「安西くん、お願い。
辞めて?」と泣きながら言うと、
安西くんはハッとした顔で手を止めてくれる。


「ごめん。
なんか、ヤキモチ焼いた。
いろんなことされてる情景が浮かんでさ。
こんなこと、しないから。
本当にごめん」と言って、
私の服を整えてくれる。


「送るね?
それと、送り迎えのこと、
おばさんに話しても良い?
送り狼とかにはならないから」と真剣な顔で言うので、
私は思わず頷いていた。


「瑞樹ちゃん、
ありがとう」と言って、
車のエンジンを掛けて、家まで送ってくれた。

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