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調教物語~ある男の性癖~
第17章 男なら誰でも食っちゃうママ

『さっちゃん、逝かせてもらったかしら?』

クラブ「裏路地」のママさんこと
須佐見菊乃は水割りのグラスを傾けた。

角氷がカランと涼しげな音を立てて
グラスの中で踊った。

お店は路地裏と言うことで
数名の常連客を除いて
ご新規さんはほとんど来ない。

バブルの頃は濡れ手で粟ではないが
黙っていても儲かった。

最近は、ここんところずっと赤字だ。

『そろそろ潮時かなあ…』

佐智子は器量の良い子なので
こんな店で働くよりも
それなりのお店にいけば
今の数倍…
いや、数十倍のお金を稼げるに違いない。

身持ちの堅い子だと思っていたけれど
ちゃんと立派な男性といい仲になっていたとは…
あの子もすみに置けないわね

若い頃はそれなりにモテた菊乃だが
50代を目前に控えた今、
言い寄る客もいなくなった。

『見た目はおばさんでも
まだまだ男が欲しい体なのよねえ』

菊乃はグラスの水割りをぐいっと飲み干して
空のグラスを
カウンターにタンっと音を立てて置いた。

『無邪気な顔をして寝ちゃってさ~』

カウンターで酔いつぶれている男の髪を
優しく撫でてあげた。

「あらっ?」

懐かしい香りがした。

別れた亭主が好んで着けていた整髪料の香りが
菊乃の女を目覚めさせた。
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