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調教物語~ある男の性癖~
第20章 転勤
「あら、いやだ…
頑張るって変な意味じゃないのよ
ほら、明日は部屋探しで結構バタバタするし…」
「ああ…そういう意味でしたか…
僕はてっきり…」
そう言いかけて武郎は口をつぐんだ。
「てっきり何?」
溢れる肉汁を舌なめずりして
妖しい眼差しを武郎に注いだ。
『いかん…墓穴を掘りそうだ…
このままだと、
ますます彼女のペースに巻き込まれそうだ』
彼女の問いかけ返しを無視して
「うん、この料理、なかなかいけますよ」と
話題を逸らした。
その後は会話も続かずに
もくもくと料理を平らげた。
「食後のコーヒーを淹れるわね」
そう言って岩下さんは
用意されていたドリップにポットのお湯を注いだ。
いい香りが部屋に充満し始めた。
サーバーに半分ほどコーヒーが溜まると
岩下さんは手を止めて武郎を見つめた。
「どうかしましたか?」
「私って…女として…
そんなに魅力がないですか?」
彼女は泣いていた。
涙の一滴がドリップの中にポツンと落ちた。
「あ…いや、魅力は大アリですが…」
「女の口から全てを話さなきゃいけないの?」
これは完璧に抱いて欲しいという意味だよな…
武郎は彼女の涙のわけを察知して
立ち上がると後ろから優しく抱き締めた。