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調教物語~ある男の性癖~
第23章 放し飼い
「それにしても…
いつ来てもこの店は閑散としてるねえ…」
ママさんにビールをついでもらいながら
武郎は自分達以外の客がいないことをなじった。
おまけに目当てとしていた佐智子の姿も
見当たらない。
「私ね…
このお店を畳もうと思っているの」
武郎にビールを注いだあと
寺嶋にビールをつぎながら
ママさんはあっけらかんとそう言った。
「えっ?」
店を閉めてしまうということよりも
そうすると佐智子はどうするのだろうかと
武郎はそちらを心配した。
「そういうことなんだよ
ママさんにはこの店をあきらめて
俺の女房になってもらう」
注がれたビールを一気に飲み干して
ここぞとばかりに寺嶋が打ち明けた。
「えっ?」
着席してから驚かされる事ばかりだ。
数日だけ東京にいなかっただけで
武郎の環境が
目まぐるしく動いていたのを実感した。
「お前…本気で言っているのか?」
ママさんと寺嶋とでは
年齢差が親子ほど開いているではないか…
冗談だろ?と言いかけて
寺嶋とママさんが意味深に見つめあっていたので
これは冗談ではないのだなと感じた。
「ママさん…言っておくが、
こいつの女癖の悪さは…」
「そんなのは百も承知よ…
でも…できちゃったから仕方ないわ」
ママさんは意味深な笑みを浮かべながら
寺嶋を見つめた。