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調教物語~ある男の性癖~
第23章 放し飼い
「できたって…?
おい!まさか!」
武郎は慌てて寺嶋を見つめた。
「こいつがさあ…
生理は上がったって言うから安心してたんだよ」
ビールをコップ一杯で酔うはずもないのに
寺嶋は顔を真っ赤にして恥じらんだ。
「私だって驚いたわよ
私、50過ぎよ、誰だって終わってると思うじゃない…
でもまだ、私の子宮と卵巣は女だったってことね」
ママさんも武郎にカミングアウトして
アルコールを飲んでいないのに真っ赤な顔をした。
重々驚いた…
まさか寺嶋が親父になるとはなあ…
しばし沈黙をしてしまったが
取り計らうように「そいつはおめでとう」と
心にもないセリフで取り繕った。
「結婚式には出席してくれよな」
寺嶋が告白を済ませてホッとした表情になりながら
武郎に告げた。
「ああ、もちろんさ」
とりあえずめでたい事に対して「乾杯!」と
グラスをカチンと合わせてやった。
「ところで…」と
武郎は本来の質問をママさんに投げ掛けた。
「さっちゃんは休みなのかい?」
「あの子なら辞めたわよ」
「えっ?」
武郎は、この店の席についてから
何度目かの驚きの声をあげた。
「店を畳む相談したら、
踏ん切りがついたみたいで、
地元に帰ると言い出したわ」
「地元?」
「あら?聞いていなかった?
あの子の地元は大阪よ」
大阪?!
なんとも不思議な縁に武郎は再び驚いた。