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調教物語~ある男の性癖~
第25章 岩下裕美子の嫉妬

「ささ、もう一杯!」

大阪支社長の永山が徳利を持ってお酌をしてくる。

「いえ…私はもう…」

長居はしたくないという意味を込めて
岩下裕美子はお猪口に手をかざして蓋をした。

「まあまあ、そんなことを言わんと…
これから長い付き合いになるんやから
仲良ぉやりまひょうや」

ヘラヘラと薄ら笑いを浮かべる永山の
流暢な大阪弁が鼻につく。


『早く帰って武郎を抱きたいのに…』

今夜、今後の打ち合わせも兼ねて
裕美子は永山に接待を受けていた。

- 今夜、帰りが遅くなるから -

武郎にLINEを送信したが既読にならない。

『あの人もそれなりに忙しいのかしら…』

たぶん、営業部でも裕美子と同じように
歓迎会のようなものを
接待されているのかもしれない…

小太りで脂ぎった男と差し向かいで呑んでも
酒が美味しいはずはない。
今後の打ち合わせなどと言いながら
自分の指揮下に置きたい魂胆が見え見えだった。

シラケた空気が流れはじめたのを機に
「今夜はご馳走さまでした」と
引き留めたそうにしている永山を振り切って
裕美子は席を立った。


『会いたい…一刻も早く武郎に会いたい…』

岩下裕美子はタクシーに乗り込むと
シェアハウスの住所をドライバーに告げた。

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