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調教物語~ある男の性癖~
第27章 岩下裕美子の過去

遠い過去を思い出すかのように
ゆっくりと静かに裕美子が語り始めた。


「あれは私が大学二回生の頃だったわ…」



岩下裕美子はT大学の経済学部で
かなり優秀な学生だった。

ただ、インテリっぽくて
人付き合いの苦手な裕美子は
親友と呼べる親しい友人もなく
昼食は学食でいつも一人で食事をしていた。

そこへある日、
昼食を食べている裕美子のテーブルの向かいに
一人の男が座った。

チラッと男を一瞥しただけで
挨拶も交わさずに
ガラガラの空いている学食で
なんで私の目の前に座るのかしらと
不躾な男の行動を鬱陶しく思った。

「岩下さん…だっけ?」

名前を呼ばれて
裕美子はようやく男と目を合わせた。

ゼミで何度か見かけたことのある
新沼秀樹という男だ。

新沼は長髪を後ろで束ねてポニーテールにしていた。
身長はさほど高くなく
170センチを越える裕美子の方が背は高い。

「あんたさあ、かなり優秀だよね」

今まで言葉を交わしたことなどないのに
新沼は旧知の間柄のように馴れ馴れしく言葉を投げ掛けた。

新沼を無視していると
彼は気にする素振りも見せずに
さらに言葉を投げ掛けてきた。

「そんな無視するなよ
何も取って食おうって訳じゃないんだから」

新沼の視線は裕美子のランチプレートの
唐揚げを見つめながらそう言った。


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