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調教物語~ある男の性癖~
第27章 岩下裕美子の過去
恋愛に疎い裕美子は
新沼が自分にモーションをかけてきたとも思わず
ひもじい学生が食事をたかってきたのかと勘違いした。
「食べる?」
まるで空腹の餓鬼に恵んでやる気分で
新沼に唐揚げをすすめた。
「えっ?いいの?悪いねえ」
スッと手を伸ばして
新沼は唐揚げを指で摘まむと
一口で唐揚げを頬張った。
『まあ!なんて不躾な!』
裕美子は新沼に抱いた感情は
不躾で野蛮という最低のレッテルを貼り付けた。
「なあ、あんたさあ、
中村教授のゼミを受けてたよな?
俺もあのゼミを受講してんだけど、
ちょっとノートを貸してくんないかなあ」
ノートを?
ふん、ゼミでちゃんとノートを取らないあんたが悪いんじゃない!
誰があんたなんかにノートを貸してやるものですか!
心の中ではそう思っているのに
なぜか意思とは裏腹に
バッグを開けてノートを取り出すと
「はい、どうぞ」と躊躇いもなく新沼にノートを差し出した。
「おっ!悪いねえ…
明日のこの時間、ここに返しにくるから
それでいいよな?」
新沼は裕美子の返事も待たずに
ノートを奪い取るように受けとると
もう用はないとばかりに立ち去った。