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調教物語~ある男の性癖~
第32章 最終章
武郎は薫を抱き締めて深い眠りについた。
久方振りの射精の気だるい疲れが
武郎を熟睡させた。
『武郎…』
懐かしい声が武郎に呼び掛けてくる。
この声は…
『武郎、私よ。聞こえる?』
ああ、聞こえているよ
『武郎…幸せになってね
私の分まで、いっぱい幸せになってね』
この声は…
佐智子だ!
忘れる事のできない佐智子の声だ
佐智子…会いたい…
君にもう一度だけ会いたい…
『ううん、あなたとまた再会するのは
もっとずっと先よ…
あなたにはもっと人生を生き抜いて欲しいの
私を忘れて愛し合わなきゃいけないの…』
佐智子の声が小さくなってゆく。
イヤだ!離れたくない!
「佐智子!!」
彼女の声を求めて叫びながら飛び起きた。
見慣れぬ部屋…
ここは…
そうだ、薫に再会して
俺は彼女の家に泊めてもらったんだっけ…
隣を見ると薫はすでに起き出しているのか
もぬけの殻だった。
階下の店舗側からトントンと包丁を使う音がする。
どうやら食堂の仕込みを始めているようだ
武郎も布団を抜け出して
店舗側へと降りていった。
「あら、おはよう」
武郎の姿を見た薫が明るく挨拶をしてくる。
「おはようございます…」
昨夜、薫を抱いてしまったものだから
顔を合わせるのがちょっと気恥ずかしい。
「朝ごはん出来てるわよ
食べるでしょ?」
薫に促されて、武郎は食卓についた。