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調教物語~ある男の性癖~
第32章 最終章
翌日、大晦日は店にとって
一年で最も忙しい日になった。
客が次から次へと年越しそばを求めて
どんどんと来客した。
応援に来てくれた愛弓とも
ろくにアイコンタクトも出来なかった。
夜の九時になって
ようやく人の波が途絶え始めた。
「もうお店は私一人で大丈夫だから
愛弓、あんたはそろそろ用意を始めなさい」
そう言われた愛弓は渋りはじめた。
「う~ん…どうしようかなあ…
もうアレを着る年齢でもないし…」
「なに言ってんの!
おめかしして武郎さんと初詣に行ってきなさい」
武郎と初詣…
その一言が効いたようで
じゃあ、着替えてくると
愛弓は二階に消えた。
「店を閉めてから皆で行きませんか?」
「いいえ、今夜だけは二人で行きなさい
そして…プロポーズしてあげて…」
こんな俺を受け入れてくれるだろうか…
いや、それよりも俺と一緒になったとして
愛弓を幸せに出来るんだろうか…
武郎は迷っていた。
そんな武郎の背中を押すように
「ほら、武郎も準備なさい」と
着替えを催促した。
今月の初めにボーナス代わりだと言って
薫がスーツを仕立ててくれた。
何も持たずに裕美子の部屋を飛び出した武郎にとって、文字通りそれが一張羅となっていた。