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調教物語~ある男の性癖~
第6章 女の嫉妬

午後の仕事で
咲希は意識して加菜恵の方を見ないようにした。

加菜恵はというと
社員名簿のファイルを開いて
武郎のアドレスと連絡先を調べていた。

『椎名…椎名…と…
あ、あった』

ファイルの持ち出しは勿論の事、
回覧も堂々とするのはご法度だった。

だが、武郎の連絡先を知りたいがために
加菜恵は敢えて規則を破った。

『別にファイルをコピーする訳じゃなし、
好きな男の連絡先ぐらい調べても
罰は当たらんやろ』

椎名武郎のプロフィールを
こっそりと写メに写した。

定時になると
上司から残業を求められたにも関わらず
「すいません、
今夜は外せない予定を入れてしまったので」と
咲希はそそくさと帰り支度を始めた。

「なんや、今夜、デートでもするんか?」

加菜恵は、それとなく咲希に探りを入れたが

「何の事かしら?
まさか本気で
私と椎名さんが深い仲だと疑ってるの?」

残念でした、
デートなんかではありませんよと
あっかんべーをして咲希は加菜恵に背を向けて
帰り支度をした。

『デートと違うのん?
そしたら、お店に来てくれるやろか?』

咲希の後を追うように
加菜恵もまた急いで帰り支度を始めた。

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