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サトシのHなエッセイ
第33章 「なぁ、ええやろ?」④
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「これ、おつり・・・」
私が封筒に入ったお金を渡しても、ヤツは受け取ろうとしなかった。

「いらんて・・・それより、ちゃんと使うたか・・・?」
「だって、十万円なんて、多すぎるよぉ・・・」

私が拗ねるように言うと、ヤツは何でも無いように答える。

「知らんがな・・・女の服とか下着とか・・・いくらするかなんて・・・」
そして、照れくさそうに封筒を突き返す。

「どうせ、使うあての無いヘソクリや・・・残りは美味いもんでも、食うて帰ろか?」
ヤツ、腐れジジイの笑顔にキュンとなるのが、悔しい。

昨夜はヤツの店に泊まって、いっぱい、可愛がってもらった。
凄く、気持ち良かった。

一夜明けた今日。
ヤツのぶかぶかのジャージとTシャツ姿で駅中のショップでお買い物。

雨で濡れた服は紙袋の中で、後でクリーニングに出す予定。
今、買った服を着て、買いそろえたランジェリーと共に、ヤツの店、ヤツのプライベートルームのクローゼットにキープするのだ。

そう。
これからは、ヤツの「セフレ」になるのだから。

「お金だけなんて・・・一緒にお買い物してよ・・・」
「あほっ・・・ジジイが一緒て、不倫、まるだしやろがぁ・・・」

生臭い会話をしながらも私はジジイのハニカミと優しさが嫌いではなかった。
財布ごと渡されていたら、きっと、遠慮していただろう。

それが、封筒ごと、十万円、使い切れと言われれば。
思い切って、買い物できるから。

ブランドの服と下着。
自分のお小遣いではためらう金額を。

ヤツは、さり気に使ってくれたのだ。
さすが、私が選んだ「腐れジジイ」だ。

金額じゃなくて。
使い方が嬉しい。

私が着替えた姿を見て、ヤツは言った。

「ええなぁ・・・別嬪さんや・・・」
「フフッ・・・」

私はヤツの腕をとり。
身体をそっと、もたれさせるのだった。

「おお・・・」
ヤツは嬉しそうに私を見つめる。

だけど。
私はしかめっ面を返すのだった。

「腐れジジイ・・・」


※※※※※※※※※※※※※※※

「なぁ、ええやろ?」
(今度こそ、完(笑))
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