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Start Over Again
第2章 再会
契約書に署名した日から3日後。
「萌香と同じ日にすれば、まとめ割が適用されて、だいぶお得になりますよ」
と萌香の彼・健介くんに言われ、費用もできる限り抑えたいという気持ちもあり、お願いすることにした。
午前中から業者のトラックへ萌香の荷物を積む作業が始まり、萌香も大きな家具はある程度処分していくとのことで思ったより少なかった。
「お姉ちゃん、達者で…」
「うむ。お主も、達者でな…」
時代劇にハマってる萌香に合わせて返すと満足そうに笑う。
「無駄に連絡するね~」と言って車に乗り込む萌香を少し寂しい気分で見送った。
午後1時。
簡単に昼食を済ませたところにインターホンが鳴った。
ドアを開ける前から玄関の向こう側で「おねーさーん、お待たせしましたー」と健介くんの声がする。
「はーい」と何も考えずにドアを開けて健介くんの姿を確認したあと、その隣に立っている人を見て驚いた。
あれ…この顔……。
「お久しぶりです、恵香さん。僕のこと、覚えてますか?」
そう言ってさわやかに笑うのは
「さ…朔ちゃん!?」
「そうです。覚えててくれたんですね、嬉しいな」
数年ぶりに会う、咲子の弟・朔太。
「もちろん…。覚えてるよ……」
親友の弟を忘れるわけがない。
だけど、まさか会うなんて思わなくて、なんと言ったらいいのかわからない。
急に黙り込んだ私を見て、何か悟ったのか健介くんがわざとらしく咳払いした。
「お姉さん、久々の再会で喜んでいらっしゃるところすみません。森川は本日うちの従業員としてここに来ています。知り合いみたいですが、仕事はきちんとやりますのでご安心ください!!」
割り込んでくれて助かった…。
ビシッ! と敬礼ポーズをする健介くんにホッとしつつ、いつものチャラチャラした雰囲気を封印して真面目な仕事モードなのがなんだか急におかしく思えてきて、
「はい。よろしくお願いします」
と笑いそうになるのを我慢してペコッと軽く頭を下げた。
「愛する萌香のお姉さまですからね、お任せください! あっ、でも、もし何かやらかしても萌香には内緒にしてくださいね?!」
おい、何かやらかすってどういうことだ。
そう内心でツッコみつつ、次こそ「あははっ」と大きく笑って、健介くんと朔ちゃんを家の中へ招き入れた。