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Start Over Again
第4章 同居スタート
同居生活が始まってから二週間。
仕事の都合で朝早く家を出て、夜遅くに帰宅という生活を送っていた。
朔ちゃんは昼は大学、夜は週に何日かバイトという生活リズムで、たまに私より遅く帰宅することもあった。
そのおかげであまり顔を合わせることなく過ごしていたが、やっと仕事が一区切りついたため、来週からは通常の勤務時間に戻る。
戻るということは朔ちゃんと顔を合わせる時間も増えるわけで。腰を抜かした一件以来、ろくに話もしていないどころか恥ずかしくて顔もまともに見れない私のメンタルは果たしてもつだろうか。
人並みの恋愛経験はあるはずなのにほっぺにチューされて腰を抜かすなんて…
驚いたからとはいえ、思い出しただけで恥ずかしい。
なんとでもない顔して、なんとしてでもリビングに向かうべきだった…!
そんなことを考えているとあっという間にマンションに到着していた。
エレベーターに乗ってなんとなくスマホを見ると朔ちゃんから【今日も遅くなりますか?】とラインが届いていた。
受信時間は5分前。
もう家着くし返信はいいかな。
と思いながらバッグを漁ってカードキーを取り出す。
玄関に入るときちんと揃えた朔ちゃんの靴があった。
その隣に自分の靴を揃えて置き、玄関からリビング奥の朔ちゃんの部屋まで声は届かないとわかっているけど、習慣的に「ただいまー」と言う。
すると玄関を入ってすぐ左の引き戸がガララと開いた。
「おかえりなさい」
お風呂に入っていたのか頭にバスタオルを引っかけた朔ちゃんが顔を出した。
下はスウェットを履いているが上はまだ何も着てなくて、ほどよく筋肉のついた胸板を思いっきり見てしまった。
ゆっくり視線をそらしてバスタオルを見つめる。
「た…だいま」
「早かったんですね。ご飯は食べました?」
「ううん、まだ。朔ちゃんは?」
「僕もまだです。これからご飯作るんで、恵香さん先にお風呂入っちゃってください」
にこっと笑う朔ちゃんに「ありがとう。そうする」と言って自分の部屋へ向かった。