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Start Over Again
第4章 同居スタート
「キスがどうだったか、まだ聞けてない」
見おろしてくる瞳が、"もう、逃げるのは許さないよ" とでもいうように意味深に揺れて目が離せない。
これは…私が話すまで解放してくれないやつ?
でも、昨日の私の態度を見ればわかるよね…?
「昨日の私の様子で…わからなかった?」
おそるおそる聞いてみると朔ちゃんはすぐ首を横に振る。
「様子や態度だけじゃ、よくわからない。ちゃんと言葉で教えて」
真顔の朔ちゃんにドキッとしつつ、諦めて白状するか…とゆっくり息を吐く。
「よかった…です」
「何が?」
わかってるくせに! いじわる!
「朔ちゃんの、キス…」
「キスがなに?」
ああ~~~もうっっ!!
「朔ちゃんのキス! めちゃくちゃ気持ちよかった!!」
叫ぶように言ってしまって恥ずかしい。
バッと両手で顔を隠すけど、それは簡単に剥がされた。
ドキドキしながら目を向けると、嬉しそうに微笑む朔ちゃんの顔があった。
「けいちゃん…僕、嬉しい。けいちゃんが気持ちよくなってくれたことも、恥ずかしいの我慢して気持ちいいって言ってくれたことも嬉しくて仕方ない」
その言葉にさらに恥ずかしくなる。
「やっとだ……やっと、進むことができる」
「え?」
どういう意味? と目を向けると、朔ちゃんは返事の代わりに首を横に振って私を見つめた。
さっきまでとは全く違う、やわらかくて温かいまなざしで。
「けいちゃん、好きだよ。大好き…」
ベッドについていた手を曲げて肘をつき、私の髪に触れる。
「僕以上にけいちゃんのこと好きなやつ、いないと思うよ」
それは……私もそんな気がしてきた。
「諦めが悪いのは、自分的には長所だと思ってる」
「一歩、間違えたらストーカー…」
私がぽつりとこぼした言葉に一瞬ムッとしたものの、すぐにふふんっと鼻で笑い、
「なんとでも言って。まぁ、けいちゃんが本気で嫌がることはしないから安心して?」とにっこりする朔ちゃん。
「…僕がけいちゃんを惚れさせるのが先か、けいちゃんが僕に惚れるのが先か…」
言ってること同じじゃない? と考えていると
「いずれにしても、ぜんぶをもらうから…覚悟しててね?」
私の髪をくるくると指に巻きつけ、そこに軽く唇を落とし、あの日と同じように…不敵に笑った。