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Start Over Again
第6章 男の匂い
「そっか…、そんな風に考えてくれてありがとう」
「…うん。だってほら前に、けいちゃんが本気で嫌がることはしないって言ったしね」
ん?
「でも、次またけいちゃんが他の男の存在を匂わせてきたら……僕、抑えられないかも」
んん?
「けいちゃんが泣いてやめてって言っても止められないかもしれないから、気をつけてね?」
んんん?
「…言ってること、むちゃくちゃじゃない!?」
ガバッと上半身を起こして言うと、
朔ちゃんが「ん~~?」とすっとぼけた声を出す。
うわ…こういうところ、咲子にそっくり…。
目を細めてじとーっと睨むと、不意に脇にすべり込んできた手に体を持ち上げられ、引きずられるように朔ちゃんの体の上に乗せられる。
「…いい眺め」
私を見上げながら目を細めて口角を上げる朔ちゃんの腕をパシッと叩き、体から降りようとするけど、腰をがっちり掴まれていて動けない。
「手、離して」
「やだ。ねぇ…ほんとにダブルデートするの?」
「え……うん」
急に真顔になった朔ちゃんに戸惑いながら答えると、はぁぁぁ…と大げさにため息を吐かれた。
「そのときさ、けいちゃんは誰を連れて行くの?」
「えっと…まだ決めてない」
「デートするなら昼間にしてもらってね。そしたらお酒飲まないで済むし」
「ああ…それは私も思ってた」
「健全なデートなんだよね? あのどちらかの男にホテルに連れ込まれたりしないよね?」
「しないよ!」
「ほんとかなぁ…だってけいちゃん、僕に押し倒された前科があるし…」
「ほんとにっ!」
「じゃあ、その連れて行く友達、姉ちゃんにしてよ」
「…え、咲子?」
予想外の名前に首をかしげると、朔ちゃんが眉を下げて困ったような表情をする。
「だって…心配だから。そこに姉ちゃんがいてくれたら僕もかなり安心できるかなって…だめ?」
うっ…。
「事情を話しておけば、姉ちゃんがいい防御壁になってくれるはずだし…ね? お願い…」
うぐっ……。
瞳をうるませて見上げられて胸にくる。
「咲子…来てくれるかなぁ」
一応、彼氏持ちだし。
「うん、来てくれるよ。いっしょに頼んでみよ。ね?」
私も大概、朔ちゃんに甘いよな…と思いながら、コクンとうなずいた。