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Start Over Again
第6章 男の匂い
疲れてぐったりとした私を、朔ちゃんはもう一度軽くシャワーできれいにしてくれて、バスタオルで全身しっかり拭いてくれた上に服まで着させてくれた。
一応、お世話をしてくれた朔ちゃんにお礼を伝えてからいざ自室へ向かおうとすると、ガバッと抱きしめられて流れるように朔ちゃんの部屋のベッドの中へ。
あ…朔ちゃんの匂いがする…。
…いやそうじゃなくて、いっしょに寝るってこと?
起き上がるのがめんどくさいレベルで眠いけど
「…私、一人で寝たいんだけど…」
と朔ちゃんをじぃーっと見つめて言ってみる。
だけど案の定、朔ちゃんは首を横に振る。
「だーめ。他の男の匂いをつけてきた罰だよ」
「罰って…束縛激しくない?」
「え。束縛かなぁ? …じゃあ、僕が女物の香水プンプンで帰ってきたらどう?」
「え。それは…ちょっと嫌…」
「でしょ。それと同じだよ。さ、もう寝よ。おやすみ」
「おやすみ…」
同じだよ。と言われて、まぁ…そうか。と眠たい頭が簡単に判断する。
……あったかいな。
抱きしめられたままでいると朔ちゃんの体温が直に伝わってきて温かい。
とくん、とくん、と一定のリズムで聞こえる胸の音が徐々にまぶたを重くさせていく。
「……ねぇ、朔ちゃん」
「ん…?」
目を閉じたまま眠そうな声を出す朔ちゃん。
「なんでさっき……最後までしなかったの?」
気になってたことを口にすると、朔ちゃんがゆっくり目を開けて口角を上げる。
「……最後までしたかった?」
「そういうことじゃなくてっ」
胸元をパシッと叩くと、はははっと笑う。
「あー…、んー……だってさ、けいちゃんと僕はまだ付き合ってないから、最後までしちゃうのはどうかなって思って」
「うん」
「だけど、今日のは…止められなくて、ちょっと…いや、だいぶやりすぎちゃった感はある…ごめんね?」
「…ううん」
「よかった。それで…そうだね……僕としては今すぐにでも、けいちゃんのことめちゃくちゃに抱いてしまいたいけど、やっぱり、その……ちゃんと好きになってもらえてから愛し合いたいなぁ…と思ってまして…」
照れたように目を伏せる朔ちゃんが可愛い。
それに私の気持ちを優先に考えてくれてることが嬉しい。