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Start Over Again
第8章 悪夢 と デート
グランピングから帰宅すると朔ちゃんはいなくて、あれ? と思いながらスマホを確認すると
【僕も今日は出かけるので、帰宅は遅くなります】とメールが届いていた。
出かけて疲れたしさっさと寝よう。と思い簡単にシャワーを浴びていると、朔ちゃんに触られたことを急に思い出して体が熱くなった。
あれからも朔ちゃんは軽めのスキンシップしかしてこない。
『まだ付き合ってないから』と言ったことをきちんと守ってくれてるんだな…とありがたく思いながらも、20歳の健全な男の子にはなかなかツラいことなのでは…と申し訳なくも思っていた。
咲子には簡潔に説明したものの、『さっさとヤッちゃえば、けいの気持ちもはっきりするんじゃない?』と咲子らしいことを言われ、余計に悩むこととなった。
セックスをするのは簡単かもしれないけど、一度してしまえば、戻れなくなる気がして…
朔ちゃんとの関係が変わってしまうのが怖い。
そうやって、ぐるぐると同じことを考えながら眠りに落ちた私は、久しぶりに夢をみていた。
目に映ったのは、なつかしい天井。
"あ、これ夢だ…" とすぐに気づく。
『ーー…愛してるよ、けい』
その天井を背景に、大好きだった人が甘い言葉をささやく。
だけど、私は泣いていて。
私を激しく揺さぶりながら笑う顔がひどく歪む。
『ーー…から、ーーー…子ども産んでよ』
好きだったからこそ、言われたくなかった言葉が脳内に流れ込んできて、ビクッとして目を覚ます。
………久しぶりにみたな…。
呼吸がしにくくて苦しい。
汗をかいているのか服が肌にまとわりついて気持ち悪い。
だけどしばらく動けないまま、暗い部屋のどこを見るわけでもなくボーッとしていた。
だいぶ落ちついてくるとケホケホと乾いた咳が出てきた。
喉が渇いてるときの咳だな、と思いながら水を求めて自室を出る。
フラフラとキッチンに到着して冷蔵庫を開けて水が入ったペットボトルを取り、勢いよく喉に流し込む。
勢いがよすぎたのか唇の端からこぼれて服が濡れるのがわかるけど、今は気にならない。とりあえず喉を潤わせたくて仕方なかったから。
あっという間に500mlを飲み終えると足に力が入らなくなった。ずるずると冷蔵庫を背に床に座り込む。