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幼なじみとしたいコト
第1章 幼なじみ

8月初旬、夏休み真っ只中。

幼なじみの春希の部屋で初めこそは課題をやっていたものの、1時間も経てば集中力は切れてしまって。

「少し休憩しよっか」と春希の提案でアイスを食べたあと、ベッドを背にして横並びに座り、それぞれ漫画を読んで適当にくつろいでいた。

春希とは家が隣で家族ぐるみで仲が良い。

幼い頃から互いの部屋を行き来していたが、高校生になってからはなぜか春希が私の部屋に入りたがらなくなり、この数ヶ月ほとんど春希の部屋で過ごしている。


「んん~~~!」


漫画を読み終えて手を上げて伸びをする。
そのまま体をひねって後ろのベッドにズルズルと乗り上がりそっと横になる。


「あ~~、H&Hの続き読みたい~~」

「確かに連載再開してほしい……てか、秋ちゃん。ベッドに乗っちゃだめって言ったじゃん」


春希が振り返って苦笑いする。


「何でだめなのー?」

「何ででも。だめったらだめ」


最近の春希は、私がベッドに乗ることを極端に嫌がる。
寝転がるのもだめ、座るのもだめ。
だめだめ、と言うわりに理由は言わないから、納得できない私は少しだけ言うことを聞かない。


「えー? だって春希のベッド、寝心地が良すぎるもん」

「寝心地? ……秋ちゃんのベッドとそんなに違うかなぁ」

「んー違うよ。この絶妙な高反発はなかなかないね。あー、寝返りうつのもラクだし……どんだけ寝ても腰痛くならなそう」


手のひらでベッドを押し込んでみたり寝転がってみたりして堪能していると、春希は諦めたようにそっぽを向く。


「……漫画飽きたなら何か、映画でも見る?」


こんなふうに話をそらされる。

だけど、私をベッドから無理やり引きづりおろそうともしないので、ある程度ベッドの肌ざわりを堪能したら黙って元の位置に戻る、というのがいつもの流れだ。

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