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永眠を捨てた青少年
第2章 2
鷹之丞は続ける。
「……食事は運ばせているはずですが」
「義父上にはいつお目通りが叶うのですか?」
小霧が無表情にそう返した。
鷹之丞は廊下の向こう、入り口階段の方に一旦目を向けたあと、格子の間近まで体を寄せてきた。
「……お近くへ」鷹之丞がささやき声で言う。
小霧はしばらく動かなかった。
しかし、鷹之丞の目に宿る深刻な光を見て取ると、小霧も格子に近づいた。
鷹之丞は口元を手で覆い、小霧の耳近くで、ささやきに近い小さな声を出した。
「……しずどのの居所が分かりました」
小霧の目が大きく開いた。
「それと……」鷹之丞はそのまま、小霧の耳元でいくつかのことを語っていった。
小霧の目が、さらに大きく開いていく。
鷹之丞の話が終わるころには、小霧の目は元通りになっていた。しかし——
その目に宿る光だけは、氷のような冷徹なものに変わっていた。
鷹之丞は小霧から離れると、腰に差している二本の刀を抜いて前に置いた。
二本とも——小霧の刀だった。
鷹之丞に預けた脇差はもちろん、お菊の店に隠してきた打刀までここにある。
「……食事は運ばせているはずですが」
「義父上にはいつお目通りが叶うのですか?」
小霧が無表情にそう返した。
鷹之丞は廊下の向こう、入り口階段の方に一旦目を向けたあと、格子の間近まで体を寄せてきた。
「……お近くへ」鷹之丞がささやき声で言う。
小霧はしばらく動かなかった。
しかし、鷹之丞の目に宿る深刻な光を見て取ると、小霧も格子に近づいた。
鷹之丞は口元を手で覆い、小霧の耳近くで、ささやきに近い小さな声を出した。
「……しずどのの居所が分かりました」
小霧の目が大きく開いた。
「それと……」鷹之丞はそのまま、小霧の耳元でいくつかのことを語っていった。
小霧の目が、さらに大きく開いていく。
鷹之丞の話が終わるころには、小霧の目は元通りになっていた。しかし——
その目に宿る光だけは、氷のような冷徹なものに変わっていた。
鷹之丞は小霧から離れると、腰に差している二本の刀を抜いて前に置いた。
二本とも——小霧の刀だった。
鷹之丞に預けた脇差はもちろん、お菊の店に隠してきた打刀までここにある。