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永眠を捨てた青少年
第2章 2
 そして、鷹之丞は袂から鍵を出し、格子にかけてある錠前を開け始めた。

「……某も本当はまだ、迷っております……鹿狩家を……我々を捨てようとした貴方に味方して……御館さまを裏切るまねをしてよいものかどうか」
「牢を開けながら語る言葉とは思えませんが」
「本心です」
「私も迷っていますよ、そんな私の耳にわざわざ入れてくる話など信じてよいのかどうか」

 錠前が開く音がした。鷹之丞が格子の扉を開く。
 小霧は牢から出るや否や、すぐさま二本の刀を腰に差して出口へ走り出そうとした。

「お待ちを小霧さま……! 某が屋敷の裏口まで先導いたします」
「来るな」
 小霧は静かでありながら、強烈な威圧感を持った声で言った。
 その声で——鷹之丞の全身を悪寒が駆け抜けた。そして彼はしゃがんだまま動けなくなった。

「見つかるとすれば私だけでいい」
 小霧はそう言うと、顔を少し後ろに向け鷹之丞を見下ろした。
「……お達者で。鷹之丞」

 小霧はひとり、出口へと駆けていった。
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