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永眠を捨てた青少年
第2章 2
 そして——気がついた。
 ——なぜ。
 ——龍玄は。
 ——この状況で……
 ——斬りかかってこないのか……?

 足の腱を切ったとはいえ片足だ。
 まして龍玄なら、踏ん張って立ち上がり、小霧を後ろから斬り殺すなど造作もないことでは——。

 小霧は顔を上げた。
 龍玄がいない。
 そして——しずの姿も、なくなっていた。
「……!」

 小霧は小屋の中を見回した。
 ふと壁の隅に落ちている、あるものが目に入った。
 それに近寄ってみる。

 小霧がしずに贈った、梅の髪飾りだ。
「しず……!」
 小霧はそれを拾い、懐にしまいこんで周りを見た。
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