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永眠を捨てた青少年
第2章 2
(6)
落ちてきたしずの体を——小霧の刀が裂いていく。
龍玄が握っていた縄は、しずを縛り上げていたものだった。
縄は梁の上にかけられ、真上の天井近くまでしずの体を引っ張り上げていたのだ。
小霧は——すでに刀を振り下ろした格好になっていた。
残りの縄が梁の上を滑り、しずの体に吸い込まれるように——小霧の目の前に落ちていく。
——しず。
——私が。
——斬ってしまった。
——この手で。
しずは体の正面をまともに深く裂かれ——真っ赤に染まっている。
小霧はその場に崩れ落ち、手にしていた刀を落とす。
そしてしずの名を絶叫した。
しずの体を力なくつかみ、止めどなく涙をあふれさせる。
龍玄の姿は——
もう、なかった。
しかし、龍玄の存在など小霧の頭からは消え去っていた。