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永眠を捨てた青少年
第2章 2
 小霧はしずの体の感触以外、何も感じなくなった。
 それ以外のことは、すべて脳が拒絶した。

 小霧は——
 自らの体を真っ赤に染めながら、日が落ち、闇夜になり、また日が昇っても、動かなかった。
 そしてまた夕暮れになり、やってきた鷹之丞が小霧の姿を見つけた時には——
 小霧の左腕には、手首が——生えていた。

     ※   ※   ※

 そのあと、小霧が鹿狩の屋敷に戻ったときには日は沈んで夜になっていた。
 屋敷に、龍玄の姿はなかった。

 何も言わず、血まみれの姿のままで、顔つきまで変わってしまっている小霧の様子に屋敷中が騒然となった。
 小間使いなどは逃げるように小霧を避けた。

 小霧は最初に廊下で出くわした家来、阿賀都に龍玄の居所を問いただした。
 龍玄は小屋から一度も屋敷に戻った様子もなく、阿賀都もどこにいるのか本当に知らないようだった。
 だが、小霧は——阿賀都を斬った。
 小霧が人を斬り殺したのはこれで四人目だ。
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