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永眠を捨てた青少年
第2章 2
小霧は、鱒壱にだけは前腕にかすり傷を負わせられたが、その傷は瞬時に治った。
やはり——
斬られたはずの左手首が戻ってから、体に何かしら人外の力が宿っている。
——心だけではなく……
——身も鬼になったのかもしれない……
——だが、それでもいい。
すっかり火に包まれてしまった屋敷をあとにしようと小霧が外へ出たとき、小霧は鷹之丞と出くわした。
小霧は鷹之丞に対しても刀を向けた。
「……しずは?」
「寺にあずけて、丁重に弔ってもらうよう手はずは整えてまいりました」
「感謝します」
「……小霧さま」
「なんでしょう」
「……某は小霧どのをおとしいれる片棒を担ぎ、あまつさえしずどのを守ることもできませんでした。よって断罪されて当然……某を斬ってください」
しかし、小霧は鷹之丞を斬らなかった。
やはり——
斬られたはずの左手首が戻ってから、体に何かしら人外の力が宿っている。
——心だけではなく……
——身も鬼になったのかもしれない……
——だが、それでもいい。
すっかり火に包まれてしまった屋敷をあとにしようと小霧が外へ出たとき、小霧は鷹之丞と出くわした。
小霧は鷹之丞に対しても刀を向けた。
「……しずは?」
「寺にあずけて、丁重に弔ってもらうよう手はずは整えてまいりました」
「感謝します」
「……小霧さま」
「なんでしょう」
「……某は小霧どのをおとしいれる片棒を担ぎ、あまつさえしずどのを守ることもできませんでした。よって断罪されて当然……某を斬ってください」
しかし、小霧は鷹之丞を斬らなかった。