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永眠を捨てた青少年
第2章 2
 永遠の命などといえば、自由の最たるもののようにも聞こえる。
 しかし、実際は——逆だった。

 小霧を襲うのは、閉じ込められ、がんじがらめにされている窮屈さだった。
 空や陸や海は広く続いているはずなのに、体を物理的に拘束されているわけでもないのに、『この世』という檻に閉じ込められている感覚——。
 そしてそれは、経った時間に比例して、強くなっていく。

 鷹之丞の言葉が、実感としてよみがえってくる。
『終わりがない、というのは地獄そのものですから——』

 生きる意味を見いだせない。
 必ず失うのだから、守りたいものなど重荷でしかない。
 執着も、欲望も、年月がそれを希釈していく。
 いずれ、自我を失うのではないかとさえ思えてくる。

 ただただ、命を保って無駄に生きながらえているだけの、鬼——。
 生きているのに、生きることをあきらめるしかない、人外——。

 それから小霧は、無為に長い時間を過ごしてきた。
 そして、ある夏の花火の夜——。

 小霧は、しずとよく似た雰囲気をまとった、ひとりの女に出会った。
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