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永眠を捨てた青少年
第3章 3
 しずも、うつむき加減の顔を上げて小霧の瞳を見つめる。
 しずは——
 小霧のもとへ駆け寄って正面から抱きついた。

 小霧は一切動かないまま、かすかに全身を震わせていた。
 しばらくして小霧は両腕を静かに上げて、しずの背中に回し、ゆっくり抱きしめた。

 そのまま長い間——二人は何も言わず、じっと動かなかった。
 時間が止まってしまったかのような感覚が、二人を包む。

 やがて——

 しずは小霧の胸に頬を当てて、静かに口を開いた。
「……自殺しなくて……よかった……」

「きっかけは……あなたの父親ですね……?」
 しずは小霧の胸の中で小さくうなずいた。

「……僕はあそこに乗り込む前から……あなたの父親があなたに何をしているかも全部知っていました」
「……誰からお聞きになったんですか……?」
「……ひとり、構成員の男を丁重に拷問してお話を伺っただけです」
「まあ……今は侍の世じゃありませんよ?」
「……今の時代が生ぬる過ぎるんですよ」
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