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永眠を捨てた青少年
第3章 3
「でも……あんな人たち……大嫌いです……なんであんなところに生まれ変わったんだろうって……父も……父親だと感じたことはないし、今もそう思えません。だって……中身は江戸生まれのしずですもの。私の本当の父は、あのときの江戸に置いてきました」

「さっきも言ったでしょう、あなたをあそこに帰す気はありません」
 しずは頬を小霧の胸から離して顔を上げ、彼を見つめた。
「でも……それは私がしずだって分かる前に言ったことですよね……? そうやって私に似てる女の人を何人ももてあそんできたんですか?」

 小霧は視線だけをしずの顔からそむけた。
「……何人もってことはないですよ」
 しずはくすっと笑って言った。
「いい気分じゃないですけど……許してあげます。私のことがそれだけ忘れられなかったんでしょう?」
「……少し、性格変わったんじゃないですか?」
「この時代に二十年いますから少しは影響受けるでしょう? 小霧さまだってきっとそう」
「……まあ二百年も生きていれば、ね」

 しずは小霧の胸元に顔をうずめた。
 小霧の着物の衿元が、しずの鼻で少しはだける。
「……小霧さまの匂いが……薫りがします……」
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