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永眠を捨てた青少年
第3章 3
 小霧がしずの目を見ながら言う。
「考えてもいなかったな……何を嫌えばいいのか僕には分からない」
 しずの目が再び潤みだした。
 そしてしずはまた小霧に抱きついて、固い胸板に夢中で鼻を押し当てて何度も吸い込み始めた。

 しずの顔があちこち動き、少しずつ小霧の衿がはだけていく。
 小霧がそっと両手でしずの肩をつかむ。
 しずが顔を上げる。
「イヤ……ですか……?」
「ああ……その……そう、まだ風呂に入ってなくてね……」
「その方がいいです」

 小霧は、しずのワンピースの両肩をつかんだ。そして上に引っ張り上げようとした。
 しかしそれを、しずが両手でさえぎった。
「……まだ、えっと……勇気というか、今さらですけど……まだこの身体をお見せする、その……」

 小霧はワンピースを握る手を離し、ゆっくり生地の乱れを直した。
 しずはまた小霧の肌に直接顔をくっつけて、小刻みに鼻から息を吸い込む。
「だから……今は……せめて、ご奉仕だけさせてください……」
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