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永眠を捨てた青少年
第3章 3
 小霧は闇夜の車窓をぼんやりと眺めていた。
 やがて、ぽつりと言った。
「……怖いんですよ」
 雀之丞はだまったまま、前を向いて運転を続けている。

「もちろん少し違うんですよ、昔のしずの姿と……雰囲気は似てはいますけどね、似ているというより……目の光はしずなんですよ……中身がしずなんだから当たり前だ」

「私は過去のしずどのにお会いしたことはございませんので分かりかねますが、若さまがおっしゃるならそうなんでしょう」

「……似ているどころか、もう途中からしずにしか見えないんです。いや、しずなんですよね……あの頃から二十歳になったらこう変わったかもって……ああ、何が言いたいのか分からなくなってきたな」
「それはお珍しい」

 小霧はしばらく口をつぐんだ。
 車は交通量の少ない道をずっと走り続けている。
 いろんなことが頭の中を巡っていく。
 今になって、こんなに心かき乱されることに出くわすとは——。

「……いずれ僕はね……必ず、しずを先に失うことになるんですよ」
「そうなりますね」
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