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永眠を捨てた青少年
第3章 3
——だから。
——本気になったって意味のないことなんだ。
しかし、そんなものはただ怖がっているだけなのだ。
——しずを前に、怖いなんて言えない。
——まして拒むなんてできない。
むしろ、しずが欲しいのだ。欲しくて欲しくて仕方がないのだ。
さっきの、一生懸命に小霧の身体をむさぼってくるしずの様子は——
愛しくて、気が変になりそうだった。
欲情が、止まらなくなりそうだった。
けれども、本気になれば——また失う悲しみにさいなまれる。
それは変えられない。
あのころの、まだ未熟な十七歳の自分に戻ったようだった。
怖さと、ためらいにあっさりと翻弄される。
——そんなもの、とっくに全部捨ててきたはずなのに。
車の外は、少しずつ建物や街灯の光が増えてきていた。
小霧はつぶやくように言った。
「僕には……失いたくない存在なんて、あれ以来一切なかった」
「我々は使用人ですからね」すかさず雀之丞が言う。
「そういうことじゃない」
「分かっておりますよ」
「……あなたたち一族には感謝してもしきれないと思ってます」
「それが務めですから」
——本気になったって意味のないことなんだ。
しかし、そんなものはただ怖がっているだけなのだ。
——しずを前に、怖いなんて言えない。
——まして拒むなんてできない。
むしろ、しずが欲しいのだ。欲しくて欲しくて仕方がないのだ。
さっきの、一生懸命に小霧の身体をむさぼってくるしずの様子は——
愛しくて、気が変になりそうだった。
欲情が、止まらなくなりそうだった。
けれども、本気になれば——また失う悲しみにさいなまれる。
それは変えられない。
あのころの、まだ未熟な十七歳の自分に戻ったようだった。
怖さと、ためらいにあっさりと翻弄される。
——そんなもの、とっくに全部捨ててきたはずなのに。
車の外は、少しずつ建物や街灯の光が増えてきていた。
小霧はつぶやくように言った。
「僕には……失いたくない存在なんて、あれ以来一切なかった」
「我々は使用人ですからね」すかさず雀之丞が言う。
「そういうことじゃない」
「分かっておりますよ」
「……あなたたち一族には感謝してもしきれないと思ってます」
「それが務めですから」