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永眠を捨てた青少年
第3章 3
 小霧はため息をついて上半身を横に倒し、シートの上に寝転んだ。

「失うものを作らないようにすればするほど、余計に失うことが怖くなっていく……分かってるんですよ、分かってるんですけどね……二百年生きていてもこのざまですよ。歳を重ねれば円熟するなんてウソっぱちだ。……だめだこれ、酔いそう」
 小霧はシートに横になるのをやめて、体を起こした。

「ではいっそ、しずどのを家にお帰しして元のさやに戻しますか?」
 雀之丞の言葉に、小霧は返事もせず少しむっとした顔をした。

「若さまでしたら、すぐにまたあの屋敷に殴り込みに行かれるでしょうね」
「あんな変態親父のところには帰す気はないですよ。なんならあの男は殺してやってもいい」
 小霧は不機嫌そうな口調で言った。

 しばらくして、雀之丞は軽く咳払いして口を開いた。

「若さま、どのみちあなたは死ぬことはできないんです永久に、それはもう分かりきっていることで変えることはできません、であるからしてこれから何百年あるいはもっと長いのか存じ上げませんが悠久の時間を生きるとすればいずれにせよその苦しみから逃れることは叶わないのです、他にも多くの数え切れない苦しみも待っているでしょう、だったら……」

 雀之丞は一定の調子で一気に言うと、もう一度咳払いして続けた。
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