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永眠を捨てた青少年
第3章 3
「……どうしても忘れられない苦しみが、もうひとつくらい増えたって良いではありませんか」
小霧は憮然とした顔をしていたが、その口元に少しほほ笑みを浮かべた。
そしてゆっくりと上着の内ポケットに手を入れた。
手を開き、取り出したものをじっと見る。
梅の髪飾りだった。
きれいに手入れされていて、新品のような艶を放っている。
小霧は再びそれを内ポケットにしまうと、また窓の外に広がる夜景を見た。
夜の灯りが多くひしめいている。繁華街の中を走っているらしい。
雀之丞はどこへ行くと告げるでもなく、ハンドルを握り続けている。
徐々に、角を曲がる頻度が上がってきた。
何度も左折や右折を繰り返している。
大通りを避けるように、裏道ばかりが続く。
雀之丞が口を開いた。
「尾けられています」
「みたいね」
二人とも特に動じる様子はない。
「スーツにして正解だったかな」小霧はそう言いながら、両手を斜め上にあげて伸びをした。
小霧は憮然とした顔をしていたが、その口元に少しほほ笑みを浮かべた。
そしてゆっくりと上着の内ポケットに手を入れた。
手を開き、取り出したものをじっと見る。
梅の髪飾りだった。
きれいに手入れされていて、新品のような艶を放っている。
小霧は再びそれを内ポケットにしまうと、また窓の外に広がる夜景を見た。
夜の灯りが多くひしめいている。繁華街の中を走っているらしい。
雀之丞はどこへ行くと告げるでもなく、ハンドルを握り続けている。
徐々に、角を曲がる頻度が上がってきた。
何度も左折や右折を繰り返している。
大通りを避けるように、裏道ばかりが続く。
雀之丞が口を開いた。
「尾けられています」
「みたいね」
二人とも特に動じる様子はない。
「スーツにして正解だったかな」小霧はそう言いながら、両手を斜め上にあげて伸びをした。