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永眠を捨てた青少年
第3章 3
「あたしの方ばかりがねぇ、歳とっていくの。結局ねぇ、あたしは雀之丞さんと一緒になりましたけどぉ……あとでね、分かったの」
「何が……ですか?」
「一緒に歳をとることはささやかな幸せだって……歳をとらないなんてうらやましいと思っていたのに……だんだんとねぇ、今もねぇ、若さまを置いてきぼりにしているようで申し訳なくてねぇ……」
置いてきぼり——胡珀の言う通りだ。
先に死ぬ側の者が、置いてきぼりにしてしまうのだ。
失うということは、同時に置いていかれるということ——
「あなたに、それができる?」
胡珀はゆっくりとそう言った。
「私は……」しずは両腕でさらに強く自分の身体を抱きしめた。
「なぁんてね!」
いきなり胡珀は大きな明るい声を出した。しずは思わず閉まっている扉の方を見る。
「本当に好きならねぇ、そぉんなこと気にせずに捕まえて抱きついてぇ、最後は置いてきぼりにしてやったらいいのよぉ!」
しずは呆然としたような顔になったが、少し間を置いて吹き出してしまった。
「だってぇしょうがないじゃない? 好きなんだものぉ」
扉の向こうから、胡珀が立ち去っていく足音が聞こえた。
「何が……ですか?」
「一緒に歳をとることはささやかな幸せだって……歳をとらないなんてうらやましいと思っていたのに……だんだんとねぇ、今もねぇ、若さまを置いてきぼりにしているようで申し訳なくてねぇ……」
置いてきぼり——胡珀の言う通りだ。
先に死ぬ側の者が、置いてきぼりにしてしまうのだ。
失うということは、同時に置いていかれるということ——
「あなたに、それができる?」
胡珀はゆっくりとそう言った。
「私は……」しずは両腕でさらに強く自分の身体を抱きしめた。
「なぁんてね!」
いきなり胡珀は大きな明るい声を出した。しずは思わず閉まっている扉の方を見る。
「本当に好きならねぇ、そぉんなこと気にせずに捕まえて抱きついてぇ、最後は置いてきぼりにしてやったらいいのよぉ!」
しずは呆然としたような顔になったが、少し間を置いて吹き出してしまった。
「だってぇしょうがないじゃない? 好きなんだものぉ」
扉の向こうから、胡珀が立ち去っていく足音が聞こえた。