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永眠を捨てた青少年
第3章 3
 しずは、鏡の方に向き直った。
 そして、上半身を隠していた自分の腕をまっすぐ下に伸ばし、直立の姿勢をとった。

 鏡には、いろんな形の痣だらけの身体が映っている。
 まだ新しいもの、青くなってるもの、治りかけでほとんど消えているもの——
 それに目をそむけず、しずはじっと動かなかった。
 しずは、かすかにほほ笑んだ。

     ※   ※   ※

 しずは、小霧が帰ってきたらどんな顔すればいいのだろうと、あらためて自分のしたことを思い出しながら少し恥ずかしく思っていたが、結局その日は小霧は屋敷に戻ってこなかった。
 夜中になり、しずはベッドに入って眠ることにした。

 小霧は、この屋敷にいないことの方が多いのだろうか。
 そういえば、彼が普段いったい何をしているのか、一切知らない。
 今のこの時代の彼のことを、何も分かっていない。

 けど、それよりも——
 ——どこで何をしていてもいいから……
 ——早く会いたい。
 ——早く戻ってきて欲しい。
 その気持ちの方が強かった。
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