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永眠を捨てた青少年
第3章 3
 屋敷の二階、一番遠くの端の部屋の窓に——ライフルを構えて暗視スコープを覗いている胡珀の姿があった。

 禍須賀は舌打ちをした。
「話が違うじゃないか」
 禍須賀はしずを強引に抱き寄せて引っ張りながら、すばやく建物の壁際に寄った。

 そして禍須賀はしずを盾にしながら壁沿いを進み、正面玄関の両開きの扉前までたどり着くと、拳銃を取り出し発砲して鍵を壊した。
 禍須賀はしずを抱き寄せたまま、すばやく片方の扉を開いて中へと逃げ込む。

 中の玄関ホールは照明がいくつか点けられていて、全体を見通せる程度には明るかった。
 禍須賀は玄関扉を閉め、左手でしずを引き寄せたまま、右手で拳銃を前に向けて周囲を警戒している。

 ホール内は広く、二階まで吹き抜けになっており、床には真紅のカーペットが敷き詰められていた。
 両端にはそれぞれ壁沿いにゆるいカーブを描いた階段があり、石造りの柵が設けられた二階の廊下へと登れるようになっている。

 禍須賀は主にその二階廊下へと拳銃を向けていた。胡珀を警戒しているのか。
 禍須賀がゆっくり移動を開始しようとした時——
 いきなり大きな音とともに、両開きの玄関扉が左右同時に勢いよく開け放たれた。
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