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永眠を捨てた青少年
第3章 3
 両手が自由になったしずは、縄の痕が残るそれを小霧の背中に回して抱きついた。
 小霧も、しずを抱き返した。が、力が抜けてその場にへたりこむ。
 しずも小霧を抱きしめたまま崩れるように二人で床に転がった。

「小霧さまこそ……こんなになって……ごめんなさい、ごめんなさい……!」
「……大丈夫、どうせすぐ治るんですから」

 小霧の体の傷からは、すでに出血は止まっていた。
 銃で撃たれた箇所はスーツに穴が空いているものの、そこから見える傷口はすでにほとんどふさがっている。
 正面の、肩から腹にかけて斜めに切り裂かれた長い傷口も治り始めている。ただ、かなり深くえぐられたためか、まだ傷が生々しい。

 しずは小霧の体をゆっくりあお向けに寝かせると、その横に正座して上半身をかがませて、舌を伸ばし小霧の胸の傷を下から上へと舐め始めた。
「痛っ……」小霧がわずかに顔をしかめる。
「我慢してくださいっ」
 しずはそう言いながら、細身ながらも小霧の鍛えられた腹筋や胸筋を横切る傷に舌を這わせ続ける。

 しずは、舌で小霧の体温と、肉の感触と、血の味を一生懸命に感じ取っていた。息が少しずつ荒くなっていく。
 こうしているだけで——しずの心臓の鼓動はどんどん早くなっていく。体が勝手に熱くなる。
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