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永眠を捨てた青少年
第3章 3
 小霧はしずに抱えられながら立ち上がった。
 そして片手を伸ばし、レースのカーテンをめくった。
 窓に映る自分の顔を見る。
 昼間なのでくっきりとは反射しないが、見えないことはない。

 いつもの顔と——やや変わっている。

『小霧さま急に大人びたような感じがします』
 しずの言葉が小霧の頭をよぎる。

 小霧は浴衣を開いて自分の胸元を見た。
 傷の状態が——変わっていない。もう完治していてもいいはずだ。

 しずに抱えられながら歩こうとするが、やはり力が入らない。
 入らないというより、みるみる全身から力が抜けていく感じだ。

 ——ああ。
 ——なるほど……
 ——そういうこと、か……

 小霧はしずの体を巻き込んで床にうつ伏せに倒れた。
「小霧さま! 小霧さま!!」
 しずの叫び声を聞きながら、小霧は意識が遠のいていくのが分かった。

 小霧の顔はうつ伏せになっている間にも——ますます歳を重ね続けていた。
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