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永眠を捨てた青少年
第3章 3
(7)
診察室には、ベッドのそばで雀之丞と胡珀が立っている。
雀之丞は顔色ひとつ変えないままだが、琥珀は今にも泣きそうなのを我慢している。
しずは、小霧があお向けになっているベッドの横で床にひざ立ちして、彼の手を握っている。
しずの目は潤んでいた。
小霧の手からは力が抜けていて、かけ布団から出ているその顔は、すでに五十代くらいに変化してしまっている。髪も白い部分が増えている。
小霧が倒れてから、まだ一時間ほどしか経っていない。
なのに、あからさまに——一気に加齢が進んでいる。
小霧の『呪い』が——
解けている。
その場の誰もが——そう悟っていた。
やがて、小霧が目を覚ました。
「小霧さま!」
しずが声を上げる。
小霧の目はうつろだった。
しかし、しずの顔を見てゆっくりうなずくと、徐々に目に光が戻ってきた。