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永眠を捨てた青少年
第3章 3
 しずが両手で小霧の手を握りながら、うつむいて全身を小刻みに震わせた。
 その間にも、小霧の手の肌から少しずつ張りが失われていく。
 髪の白い部分も、さっきより広がっている。

 雀之丞はゆっくり静かに、胡珀の肩に手を置いた。
 胡珀がかすかにうなずく。
 雀之丞と胡珀はそろって一礼すると、部屋から出ていった。

     ※   ※   ※

 雀之丞が部屋から出て廊下を進もうとすると、胡珀が正面から立ちはだかって彼の両手を握った。
 その手には力が入り、そして震えている。

「……あたしの方が……先に若さまを追い越したのにぃ……なのに……」
 胡珀はうつむきながら言った。
「……また追い越し返される日が来るなんて思います普通ぅ?」
 胡珀が顔を上げた。笑顔だった。
 笑顔のまま——両目からは大粒の涙をぼろぼろと流している。

 雀之丞は表情を変えず、両手を胡珀の肩にそえて、軽く二回叩いた。
 胡珀はうなずくと、雀之丞を置いてひとり廊下を歩いて行った。
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