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永眠を捨てた青少年
第3章 3
「……僕はもう……そのまま飲み込めそうにない……今さら喉に詰まらせて死ぬなんて格好悪くていやですよ……?」
 小霧がほほ笑む顔は、着実にしわが増えてきている。

 しずは団子の串を一本だけ取ると、先端の一個を唇にはさみ、少しだけ歯で静かに噛みちぎった。
 そしてしずは小霧の顔の上に近づき、口移しでそれを小霧に含ませた。
 小霧はゆっくりとそれを飲み込んだ。
 しずもまた小さく団子を噛みちぎって、それを飲んだ。

「うれしいんですよ……やっと僕は……死ぬことができる……なんのために生きているのか分からない長い日々から……解放される……」

 小霧はかけ布団をまくると、しわの増えた片手を力なく上げてしずに手招きした。
 しずがベッドの上にあがろうとすると、小霧が首を振る。
 しずはゆっくりうなずいた。
 そして、着ていたワンピースと下着を全部脱ぎ捨てた。

 しずはかけ布団をすべて取り払って、ゆっくりと小霧の浴衣の帯を抜いた。そして前合わせを全部はだけさせ、何も身につけていない小霧の体をあらわにした。

 やはり胸の傷も完全には治っておらず、痕はそのままになっている。
 しっかりついていた筋肉も、もう見る影もない。
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